ペルソナを手放してみる
「商品開発をする上では、必ずペルソナを設定しましょう」
こんなアドバイスを聞いたことがあるかと思います。
ターゲット層を意欲的な20代サラリーマンというぼんやりとしたものではなく、
より具体的に詰めていこうということです。
例えば、こんな感じでしょうか。
・年収500万円以上
・チャレンジ精神にあふれ、ベンチャー企業に在籍している
・港区や渋谷区在住の20代独身男性
・合コンに意欲的に参加し、美人C Aとゆくゆくは結婚したい
・無類の肉好き
・仕事は効率的かつ生産性を求めている
たしかに、このような方、いそうです。
ただ、一方で出版企画を考える上で、
私はこういうペルソナを思い切って考えない方がいいと、
伝える時があります。
なぜだか、わかりますか?
理由はまだまだあるはずですが、
主に、この二つの理由を紹介しましょう。
- ペルソナに自己投影できない
- 意図していない層に売れることもある
まず、一つ目。
彼ら彼女らの思考パターンを自己投影できないから、
的確に問題意識を汲み取れていないというケースですね。
どんな問題意識を持っているか、想像するしかありません。
私は、著者さんの「経験」こそが、
伝家の宝刀的強みになると思っています。
読者さんの心をつかむのは、
うまくいかなかったときの恥ずかしく惨めな経験であり、
そこからの逆転劇をつかんだ経験であったりします。
15年ほど前に流行った「電車男」って、ご存知ですか?
ネット掲示板で話題になり、
TVドラマ化、映画化、出版化といずれも大きくヒットしました。
この話、本当にリアルですよね。
エルメスに嫌われたんじゃないかっていう苦悶もそうですし、
電車男の心情、真に迫っていますよね。
あのリアルさにかなうもの、なかなかありません。
「電車男」のことを知らない人は、ググってくださいね。
つまり、ペルソナを設定して、問題提起することを否定しませんが、
ファンになってもらえたり、自己投影してもらえる人って誰か、
これを考えてみてもいいのではないでしょうか。
次、意図していない層に売れるということも、
実際によく見られます。
20代向けに作ったビジネス書が、
40代に売れるということもあります。
「自分の主張に似ていて、部下にわかってもらいたい」
こういうことを考えている上司の皆さんも、
割といらっしゃるものです。
私はこの教訓から、
どの年齢層にも伝わる例を入れることを大事にしています。
それでは、また!