ビジネス書を読んで実践しても結果に結びつかない?

会社の同期よりもビジネス書を読んで学んでいるのに、
全く成果に結びつかないといったこと、ありませんか?



私はあります。

ビジネス書の編集者として活躍するには、
ビジネス書に詳しくなって、
どういうビジネス書がこれから流行るのかを考えていました。

月に30冊ほど読んで、
その流れに乗るような本を作るべきだと考えてやっていたのですが、
今思えば、あまり意味がないもののように感じます。

何がいけなかったのか?
その時、感じたことを伝えます。

  • 著者の成功体験だけではなく、背景と照らし合わせているか?


今日は、このことについて、お話しします。



著者の成功体験を聞いていると、
なんだか自分でもできそうというか、
自分はビジネスで成功できそうと思える時がありませんか?



これって、実は要注意なんですよね。

わかりやすく説明するため、
私自身のことを少しお伝えしますと、
私はかなり感覚的に判断し、
行動するタイプだと自覚しております。

そのため、私は、自分と対極にあるような著者さんが、
弱点を克服して成功を収めたアプローチを聞くと、
ついつい「自分はうまくできそうだ」と感じることがあります。

「えっ、逆じゃないの?」と思うかもしれません。
次のように考えると、わかりやすいでしょう。



例えば、こんな感じです。

ある著者さんは理詰めタイプの人で、
論理を固めて相手を説得させようとしても動かなかったという経験を持っています。

そこで、相手の感情に届くようなアプローチをとことん磨いたら、
思いの外、相手を容易に動かせたことに驚いたため、
「説得は情へのアプローチをとことん磨こう」という主張を、
著者さんは今度の新刊でこのことを紹介しようと思いました。

そうして、著書の中で熱をこめて、「情の大事さ」を説いたのです。



私は若い時、こういう背景にある本を読んで、間に受けてしまいました。

私自身、コミュ障の傾向があり、円滑なコミュニケーションを取るにあたり、
どういうアプローチがいいのかを学ぼうとして手にとった本が、
「情が一番大事」なんてことが書いてあったことを覚えています。

「あれっ、情でつかむこと、自分はできているよ!」と、
その主張を読むたびに、感覚タイプの私は思っていました。



なぜ、これが間に受けちゃ悪いか、もうお分かりでしょう。

そもそも、私とその著者さんと抱えている問題が違うのです。

すでに著者さんは「論理」の部分は完璧にできていて、
「情」の部分がまだまだだったという背景にあったから、
「情が一番大事」という主張になったということです。

そう、私がすべきことは、「論理」のアプローチを鍛えることでした。

結局は、人を動かすには、論理のアプローチと情のアプローチの両方が大事だということを、
私は実務経験の中でつかみました。



一見、ビジネス書に書いてあることを実践してうまくいかなければ、
「なんだよ、使えないじゃん」と思うことだって、あるでしょう。

それどころか、全くの逆効果な時だって、あります。

そんな時はビジネス書の「背景」を考えてみましょう。
著者さんと自分の違いに気がつくことが、まずは大事です。



これって、結構、いろいろなことに当てはまります。

はじめの方で、月30冊読んで、流れに乗った企画を考えても、
うまくいかなかった事例を紹介しましたね。

なぜ、うまくいかなかったかというと、
そのヒット書を出している出版社と自社の強み・弱みを、
正確に把握していなかったからです。



ということで、ビジネス書を学ぶ時、
相手と自分の「背景」に着目するようにしましょう。

それでは、また!