どんな人に読んでもらいたいか

これは、昨日の続きとなります。

初めてビジネス書を書くことが決まったら、
「念願叶って、いよいよ著者デビューできる」と気持ちが高揚する方も多いでしょう。

しかし、そんな時に落とし穴があります。

発行月や原稿の納期などを相談して決めて、
できるだけ書きやすいよう、書く内容や目次も詰めたけど、
ある時から筆が進まなくなるといった状況に追い込まれてしまうこともあるようです。

ちょっと他人事のような書き方で恐縮ですが、
これは実際に著者さんになってみないとわかりませんので、
あえてこういう書き方をしました。

そう、私は著者の皆さんがどんな苦しみを味わっているか、正確にはわからないのですが、
もしかしたら、ライティングブルーなるものもあるのかなと私は感じます。

マリッジブルー的なものと考えてください。

書く内容は自分の専門分野だから大丈夫だろうと思うものの、
いざ書き始めたら、「こりゃ大変だ」と気づきます。

そのうち、しっかりと分量を書けるのか、
しかも納期に間に合わせられるのかなど、
色々と不安に思うものも出て来るのでしょう。

そして、原稿の期日が刻一刻と近づくにつれ、
出版すること自体がブルーになっていくというものです。


私はそういったブルーを吹き飛ばすためにも、
「はたして誰のために原稿を書いているのか」
これをしっかりと考えておいた方がいいと思います。


「そりゃ、編集者やその出版社のためじゃない?」
「自分のビジネスの宣伝になるから、ひいては自分のためじゃない?」
「読んでくれる読者のためじゃない?」

ま、流石に一番上しか考えていないという人はいないでしょう。

これについては全て正解であって、
「出版社、自分、読者の三方良し」と考えることが大事だと、
私は思います。


なかでも、具体的な像がつかみにくいのは読者像であり、
どれだけ鮮明にイメージできるかが鍵を握ります。

他の二つに関しては、担当編集者と自分の顔を思い浮かべればいいわけですからね。


では、具体的に読者層をどう描けばいいのかという問題に移りましょう。

ズバリ、身近な人に読者層になりうる人はいないか、
そして読者対象をあなたが大事に思っている人にすることがポイントになります。

たとえば、リーダーシップの本を書くことになったら、
リーダーになりたての後輩や、
リーダーになったばかりの20年前の自分のことを思い浮かべるのです。

大事に思っている方なら、
その方に良くなってもらいたいという思いが自発的に出て来るでしょうから、
原稿を書くための導火線になりやすい面があるかと思います。

身近な大事な人に読んでもらいたいと設定することで、
「書かなきゃならない」が「ぜひ伝えたい」という気持ちに変わっていき、
使命感の炎が再燃するはずです。


そして、上に書いたので、お気づきでしょうが、
「過去の自分」を読者対象にするのも一つの手です。

以前、私は「もし私が○○だったら」という風に企画を考えるという話をしました。

それと同じで、自分ごとにすることで気持ちを乗せて書きやすい面がありますし、
追憶していく中で「ああ、こんなことに悩んでいたなあ」と発見も出て来るでしょう。

そういった感覚をつかんで、読者のために書くということが大事になるのです。


それでは、また!