ずらし発想法
出版業界は二十年以上、右肩下がりで推移しています。
ピーク時で2.7兆円ほどの産業でしたが、
今現在はその半分程度までに落ちています。
さらに驚くことに、こんな売上が落ち続けているなか、
出版点数は増え続けているのです。
たしかに、ビジネス書でも十万部を超えるヒット書が毎年出てきてはいるのですが、
その裏側で売れなかった本が山積されているわけです。
この事実、あなたはどう思いますでしょうか?
さて、なぜこのような話をしたかと言いますと、
「売れない時代に多くの新刊が生まれている事実」
に少しだけでも関心を持っていただきたいと思ったからです。
一握りのヒット書とそれ以外の売れなかった本という構図が見えてきます。
当然、売れない本ばかりだと出版社が潤いませんよね。
こうなると、できる限り「売れる本を作らねばならない」と、
編集者は焦り、ヒット書に似たような本がどんどん生まれていくのです。
パクリ本の是非については、
編集者それぞれ編集方針や企画の考え方を持っているので、
一概には言えませんが、
おそらくパクリ本を「是」として考える方のほうが多数派かと思われます。
とはいえ、ゼロから企画を考えてヒット書を作り上げることは、
容易なことではありません。
そこで、今日紹介をする「ずらし発想法」で考えてみてください。
出版企画を考える時、売れている類書をチェックする人が多いと思います。
もちろん、それ自体が悪いわけではありませんが、
「売れている類書」に引きずられて企画を考えがちになってしまいます。
そこそこ見ておくぐらいで構いません。
その代わり、自分のテーマと関連のない分野で、
どんなものが流行っているのかをチェックしてみます。
例えば、こんなことですね。
- 書店さんに行った際、自分のジャンルとは別のコーナーに行ってみる
- 流行っているテレビドラマやバラエティ番組をチェックしてみる
などなど、何が流行っているのかを見ていけば、
「もしかしたら企画に転用できそう」というものが出てくるかもしれません。
例えば、私は『営業の一流、二流、三流』という営業本で異例のヒット作を作りましたが、
その時に参考したのが『一流役員が実践している仕事の哲学』という本です。
仕事術の本と営業本で少しだけジャンルをずらしてみました。
それだけでは、なんか見たことがある、パクリっぽいと思われかねないので、
構成やタイトル、カバーの見せ方は参考にした本と変えていきました。
- 端的でそのままずばりを伝えるタイトル
- タイトルを表すカバーデザイン
- 作りをクイズ形式にしてみて、読者の「?」を掻き立てる工夫をしてみたこと
ビジエス書好きな読者さんによっては、「仕事」を「営業」に変えただけなので、
構成を変えただけではパクリ扱いされかねません。
パクリ認定されないよう、オリジナルと思ってもらえるために、
このような工夫をしました。
ザ・パクリと思われると、今はなかなか売れません。
その辺りを念頭に置いて、どこか少しをずらしてみると、
出版企画を考えやすいと覚えておきましょう。
それでは、また!