「しないこと」を決める

「どうやったら売れる企画が作れるのか」
という質問をもらうことがありますが、
「これだけおさえれば確実に売れるというものはない」
と伝えるようにしています。

がっかりしましたか?

むしろ、「このスキルを使えば、たちまち本が売れるようになる」と、
考えることを手放した方がいいのでは、と思います。

その代わり、企画を考える基本については、
しっかりと構築していきましょう。

基本として、次のことをしっかり考えることを勧めます。

  • 読者対象を明確に決める
  • 読者対象にとことん迫る
  • 自分の専門性を明確にする
  • なぜ私が書くかを見せる
  • 自分の強みを明確にする
  • タイトル、キャッチコピーを考える


この辺りのことを追求して、丁寧に企画を作っていくことが、
出版化が実現し、売れる本になる近道だと思っています。

なお、3番目の専門性については、もう少し補強したいという思いも出てくるでしょう。
補強すべきものは補強しながら、同時並行で出版企画を作っていくのです。


さて、今日はその話ではなく、少し違う視点で見ることの大事さを説こうと思います。

それは、ズバリ「こんな本は売れない」という視点で、
企画を研磨しようというものです。

なぜ、このアプローチが必要なのか、エピソードを話しますね。

数年前、私は紀伊国屋書店さんなどの大型書店に行き、
「これは売れるだろう」とか、「これは厳しいだろう」とか、
そういう視点で所属していた会社以外の新刊を審査していました。

あっ、もちろん、これは頼まれてしていたことではありません。

あくまで審査する目を鍛えるためにしていたことです。

これを続けてみて、
「これは売れる」という確信よりも、
「これはあかんでしょう」という確信の方が、
しやすいことに気づいたのです。

売れた本の背景には、著者さんの発信力がすごかったり、
出版社サイドの販促の賜物であったりするので、
純粋に本の力はどれだけあったのだろうかというのが、
つかみにくいなと感じました。


そこで、書店さんに足を運んだりして、多くの本を手に取り、
「こんな本は売れない」という基準を、
自分なりに定義づけしてみてはいかがでしょうか?

例えば、私は「何かのパクリ認定される本」「翻訳本を真似た感じの本」「キャッチコピーが誰に当てているかわからない本」などを挙げています。

まだまだ「売れない本になる要素」はありますので、
こういうものをピックアップしていきましょう。
それを全て取り除けば、売れる可能性が出てくるわけです。

あと、一編集者として思うのですが、
本当に「売れない本になる要素」は力が強い面があるので、
ヒットを多く出している著者さんの力をもって覆そうとしても、
覆せなかったりします。

私個人的にもこれは気をつけておきたいところです。


おそらく、「やることリスト」以外にも、
しないことリスト」を考えている方もいるでしょう。

私はよくやってしまうのですが、
スケジュールを作り、1時間で予定を組んでいたものが40分で終わったとき、
その20分間を無駄にしたりしちゃいます。

そこで、「一回の休みにつき15分を超えてダラダラしない」と決めていたら、
無駄にしなかっただろうなと思うんですよね。

「しないこと」のアプローチで行動を律することもできますし、
「することリスト」では見えなかったものも出てくるでしょう。


まとめます。

企画を考えるとき、「売れない要素」を排除していくこと。

この観点でも出版企画を研磨していきましょう。

それでは、また!