アラサー時代、辛かった時の話 その1

新入社員が入っていつも思うことがあります。

「あっ、この人、僕よりもできそうだな」

しっかりと先輩や社内の人間に気を使って挨拶をしていますし、
丁寧に仕事をしているなという印象を持つことが多かったですね。

今、こうして書くと当たり前のことだと思いますが、
私が新入社員だった頃は、少し態度が大きかったため、
人並み以上に先輩や上司に怒られていました。

そのため、こういう謙虚にしっかりと働ける人は素直にすごいなと思ってしまいます。




そんなに大きな態度だったのに、十数年も編集者として生きていけたのなら、
さぞや優秀だろうと思うかもしれません。

いや、むしろ逆でした。

結果を出していないどころか、箸にも棒にもかからないようなやつで、
何となくこの会社に居ては迷惑がかかると、
思っていたぐらいです。




今日は、実績がなくて辛かった時の話をします。

もう時効だと思うので、言いますが、
私は会社に入って、結局先代の社長からずっと、
「企画を考えるな」と言われていました。

会社がとってきた企画を形にすることが、
結果的に会社の力になるのだからと、
伝えられました。

もし、当時に今戻れるなら、
この時点で期待されていないと感じて、
会社を早々に辞めていたかもしれません。

私が経営者なら、入社一年目とか関係なく、
出版企画を考えられる編集者を育てていくべきですし、
企画を考えることに早く慣れてほしいと思うからです。




当時の私も「企画を考えるな」と言われても、
雛鳥のように口をパクパクして餌を待っているというのは、
何だか違うように思いました。

しかし、結局、社長は自分のことを考えてくださっていると思い、
企画を考える時間を取らず、
定時に上がる日々が続いていました。

そんな誰よりも早上がりをする私に、ある先輩は、
「社長はああ言うけど、企画を考えろよ」と、
力強く背中を押してくれたのです。

この言葉、ものすごく嬉しかったですね。

企画を自分なりに考えて著者候補に会いに行き、
ある程度形にしたら、プレゼンに出す、といったことをしていきました。




正直、企画の質はかなり悪かったと思います。

プレゼンに出すたびに、
「なぜ言うことを聞かない」と社長に怒られ、
また先輩に「あんな企画じゃダメだろ」と怒られ続けていました。

もちろん、社長も先輩も悪いわけではなく、自分のせいなんですが、
まさにアンビバレンツ状態で、ポキッと心が折れたのか、
仕事が手につかない状況が続いていました。

すると、ミスも多発し、ある著者さんに謝罪を求められました。

この著者さんに関しては、私だけに非があるとは当時思えなかったのですが、
当時の上司が全くかばってくれなかったことに対し、
言い表せないほど、悲しくなったものです。

そんなこともあり、ある日から、
「ああ、お荷物社員だってことなんだろうな。さっさと辞めたほうが良さそう」
と思うようになりました。

いくら鈍感な私でも、それは強く感じとることができたぐらいです。




さて、辞める方向に針が触れている状況でしたが、ここまでが入社2年目までの話です。

2年間で十数点、編集担当をしましたが、一点も重版がかかりませんでした。
この実績はやばすぎですよね。




しかし、私はそこから15年、この会社に編集者という立場にいることができたのです。

なぜ踏み留められたのか?
そして、なぜ編集者として延命できたのか?

この話は明日以降に持ち越します。
ちょっとした逆転話を期待してくださいね。

今置かれている立場が辛いと感じている方の力になるような話だと、
私は思っています。




それでは、また!