聞いて引き出す姿勢を持っていますか?
「そもそも編集という仕事は何に似ているのか?」
こんなことを聞かれたことがあります。
これ、結構プレッシャーがかかるんです。
期待に応えなきゃと思うと、
いったん出した答えで良かったのかなとも思います。
一時期、スポーツのバラエティー番組で、
サッカー選手に「あなたにとってサッカーって、何ですか?」と
インタビュアーが質問しているのを観たこと、ありませんか?
答える方としては、非常に難しいだろうなと感じますよね。
結局、哲学的なものを求めているわけじゃないですから、
「えっ、サッカー? 飯のためだよ」
なんて言った日にゃ、バラエティ番組のプロデューサーからすれば、噴飯物ですよね。
さて、冒頭の問いですが、
私が出した答えは、マラソンのペースメーカーでした。
おそらく割と、普通な答えです。
マラソンにおけるペースメーカーは、
走者にベストなタイムを記録させるために、
1キロ何分何十秒で走ると大会主催者が契約された走者です。
マラソンレースをリードしていくことで、
他の走者を引き立てていく様などは、
編集者に近いのかなと当時は思いました。
もっとも、この冒頭の問いに対する答えは、
随時考えてみようと思います。
では、この問いに答えるには、どうしたらいいのでしょうか?
ということで、編集という仕事を要素分解して見たところ、
基本線は「引き出す」が重要なキーワードになります。
あくまで、著者さんの中にあるものを出す必要がありますから、
編集者自身が答えを決めるわけにもいかないと、
私は考えています。
私は、効果的な質問と問題提起をして、
著者さんに答えを出してもらう編集者がいい編集者だという認識です。
そして、著者さんが答えやすいように、
積極的に聴いていますよという姿勢も大事になります。
ややオーバーな感じでうなずいたり、
共感したりすることで、
著者さんは心の扉を全開して、
頭の回転のコイル数を増やしてくれます。
ま、そこを切り取れば、ホスト的な感じもあるかもしれません。
とにかく、聞いて引き出す姿勢をとることが大事かなと思います。
でも、これに関しては、永遠の課題ですよね。
完全に引き出したと思っても、そうとは言えないわけですし、
コミュニケーションに関しては終わりがないと私は思っています。
日々、鍛錬が必要です。
それでは、また!